アマガミSSのSSって…? - 11 -

アマガミSS 中多紗江編 第三章「ヘンカク」を視聴しました。
以下、感想。



前2話の「夏から始まること」「ナレーターがつくこと」について
多少触れてきて、今回も触れるが、
個人的な感想は「今まではともかく、今回のこれらは有効ではなかった」と感じた。


「夏から始まること」について。
確かにゆっくりとした時間で、ちょっとずつ関係が築かれているのはいい。
紗江ちゃんはゲームの「直球勝負」のように、突発的な行動をとることもできるが、
こうしたゆっくりとした時間の流れで関係が築かれるというのは
普段おとなしい紗江ちゃんには合っているのかなぁ…と思うから。
だけど、その中で一つ疑問に思うことがある。
それは純一が紗江ちゃんの「妹じゃ嫌」という発言について考えるところ。
「妹じゃ嫌」と言った日からだいぶ経つのに、まだ考えているのか?と。
長い間考えるのはないとは言えないが、
だいぶ経つのにボーっとするまで考えるとなると、いつまで考えているのだ?
そう思ってしまう。
そこが疑問に思ってしまうところであった。
時間の流れが非常にうまくつながらない。そう思う。


「ナレーターがつくこと」について。
純一や紗江ちゃんの心情を代弁してくれるのではないか?
または、心情を読み解くヒントを与えてくれるのではないか?
と期待して、悪くはないんじゃないか、と思ったが、
今回、今までを通じてもそのヒントが少ないように感じた。
確かに、心情を代弁してくれているところもある。
「恋の歯車が〜」と、どんな状況になっているのか説明するようなところもある。
だが、二人が互いをどう想っているのか、考えているのか、
ナレーターだけでは判断ができない。
紗江ちゃんは純一が好きだという描写を見せているけど、
なぜ紗江ちゃんは純一に惹かれているの?
純一が紗江ちゃんを意識しているような描写があるけど、
どうして純一はそんなに紗江ちゃんが気になるの?
二人の心情描写がないから、ナレーターが言わないから、想像するしかない。
だけど、惹かれだしたきっかけや気になりだしたきっかけの描写が
アマガミSS中多紗江編からでは見つけられない。
(私に読み解く力がないだけかもしれませんが)
大事なことをナレーションしてくれない。
役割を果たさないナレーターなら必要ないとさえ思う。


そもそも、登場人物が各々の心情を言うシーンを完全排除するのはどうかと思う。
表情や言動で、ある程度想像はできたとしても、
そのヒントとなる言動が少ない場合、想像することは困難である。
どこかで心情を語って補う必要がある。
本来は登場人物の独り言が入るところに
ナレーターがはいったり、ナレーターも何もなかったりするから、
ナレーションが悪いと私が思うのかもしれない。


余談だが、
純一が紗江ちゃんの顔だったり、身体だったりを見て、ドキドキするシーンがあるが、
読みようによっては「紗江ちゃんが可愛いから」「胸が大きいから」
紗江ちゃんが好きになった、ともとれる。
決して間違いではないだろうが、そんな話ではないでしょう?
(少なくともゲームで私はそうとは読み取りませんでしたよ。)
じゃあ、どうして純一は紗江ちゃんが気になったのだろうか?
しっかり描くべきではないか。


心情がしっかり描かれることを願う。



……と、不満をこぼしているが、実際は楽しく、面白く視聴していただいた。


一つは紗江ちゃんが可愛らしかったこと。
サンドウィッチを口にくわえて、首をフルフルするシーンは一番記憶に残った。
一つは二人のやり取りが(いい意味で)バカバカしく、笑えたこと。
“教官プレイ”か何か、廊下で二人が敬礼し合っているシーン。
そのシーンの背景に二人ほど男子生徒がおり、
「な、何やってんの…?」と引いているだろうなぁと想像すると笑えた。


そして、もう一つ。


二人のデート。
紗江ちゃんが「『紗江』って呼んでください」と言ったところがあった。
純一は「紗江…ちゃん」「紗江…ちゃん」と2回繰り返した。
紗江ちゃんが「て、てを……」と言ったところがあった。
純一は2回目に紗江ちゃんがしたいことを感じ取り、そっと手を握った。
だけど、手を握った純一の表情はかたい。
これらは純一の恋愛に対する不器用さがよく表れていた。


そして、次回予告の「先輩…」「紗江ちゃん…」のやり取り。
会話なんか成立しなくても、お互いの名前を呼び合う事で
幸せな時間を過ごすんだろうな、なんて考えていた。
その一方で、最後に純一の「僕は恋の歯車を回すことができるのか」の一言があった。


これは主にアコガレ〜スキの話になるが、
純一はゲーム本編において、恋愛に対して臆病になっており、
紗江ちゃんとの関わり合いの中で、紗江ちゃんの想いに気づきながら、
「これでいいのかな…」と悩みつつ、紗江ちゃんと接している。
紗江ちゃんの想いにどう応えよう、どう接するべきか、
また、自分は紗江ちゃんをどう思っているのか、
そんな風に不器用ながら考えていく純一の姿が今回の話で少し見えた。


以前も言ったが、私が最初に見たエンドは「中多紗江スキBEST」だった。
そのため、この純一の姿というのが一番最初にインプットされ、
そんな純一の姿と私を重ね合わせて、ゲーム「アマガミ」を楽しんでいた。
もしかしたら、私のアマガミに対する考えの根本はそこにあるかもしれない


だから、結構後半は私が見たかった純一の姿を見ることができて、
個人的には好きだったし、楽しく視聴した。



もちろん、疑問は残る。
「純一が紗江ちゃんの想いに〜」と書いたが、
ではいつ純一は紗江ちゃんの想いに気づいたのか、と。
この話の冒頭では「妹じゃ嫌」の意味を考えていたのに…。
ここも「時間の流れがうまく分からない」部分だと思う。



あと1話でどこまで描かれるのかは不明ですが、ぜひとも期待します。



以下、その他気になったこと、思ったこと。


1つ目。梨穂子とか、森島先輩とか。
チョイ役なのはともかく、そういや話を膨らませることもないんですね。
森島先輩がとぼけた発言でも、核心をついているということがあっても良さそうだが…。
梨穂子もあの喫茶店に来店しても面白そうなのになぁ…と。
あと、いい加減、ダイエット・食いしん坊以外に梨穂子を出せないのか、とも。


2つ目。美也。
もうちょっと紗江ちゃんと純一の仲介人になるかな?と思っていましたが、
そうでもなかったですね。少々残念かも…。
あと、美也って髪がけっこうはねているイメージがありますが、
身だしなみとかそんなに気にしないのかな…?
朝の描写で髪を整えるのも手櫛だけだったような気が……。


その10 中多紗江編 第二章「トックン」
その12 中多紗江編 最終章「コイビト」