昨日の続き

20歳直前頃から思う事があった。
自分はこれから大人になっていかなくてはいけないと。
いつまでも子供のままではいけないと。
だから、変わっていかなくてはいけないと考えていた。


周りも変わっていった。
大学生活では周りが浪人生ばかりだったせいか、皆大人に見えた。
自分よりも人生経験が豊富で、辛い浪人生活で逞しかった。
慣れない大学生活の中で彼らに感心することが多々あった。
だから、自分も今のままではいけないと思った。


その一方で、変わりたくない自分もいた。
いつまでも少年の気持ちを持ち続けたい気持ちがあった。


だから、なんだか中途半端に過ごしてきてしまった。


だけど最近、辛いこと、苦しいことがあって、自分なりに先の事について考えた。
今のままではいけない。


一つ決断した。


ずっと籍を置いていた活動を辞めた。
入学当初、自分を変えるために入った活動だ。
それを辞めるという事は、自分を変えるという事を辞めるという事に感じた。
辞めるのは、それ以上所属出来ない理由があったからだが。


その活動の同期所属の友人と少し、お話した。


その後、責任者、代表者的な存在の人物に自分の胸の内をお話しした。
辞める話をするためだ。
正直怖かった。
その電話ですべてが終わってしまう錯覚に陥ったからだ。
そして、自分の決断が否定されるのが怖かった。


話は通じた。
ホッとしたような、悲しいような気分になった。
これで何か一つ放り出してしまった。
そんな気分だった。


電話の最後にその人が言った。
「話を聞いて思ったことがある。成長したな。」


その人にはいつも怒られている印象しかなかった。
最後にそんな言葉が聞けるとは思わなかった。


人は知らないうちに大きくなり、大人になるのだ。
辞めるという事は決して放り投げる事ではなかった…
長い間悩んできたが、その時間は決して無駄ではなかった…
そっと電話を切るとなぜか泣けてきた。