アマガミSSのSSって…? - 4 -

アマガミSSにおけるファーストヒロイン、
森島はるか編の最終章「レンアイ」を視聴しました。
これにて森島はるか編が終わり、一つの物語に区切りがつきました。
以下、感想。


森島はるか編は非常にゲームの内容に沿っていた。
主人公である橘純一はトラウマを克服しようとし、
また、自分が立ち直るきっかけとなった森島先輩に
一度はフラれつつもくじけずに告白し、必死に真っ直ぐに頑張る姿を見せた。
森島先輩は恋をしたことがなく、純一の好意も受け流すようであったが、
次第に純一に惹かれていった。
そして、その中で森島先輩は今までにしたことのない恋愛の苦しみに悩んだ。


恋愛SLGとしての「アマガミ」を考えると、
森島先輩・橘純一ともに変な一面を持っていると言われているが、
こうした誰にでもありそうな恋愛模様が描かれている。
普通の高校生の普通の恋愛が描かれたゲームというのが分かると思う。


アニメ「アマガミSS」の森島はるか編ではその恋愛模様を描こうとしていた。
そう、感じる。


橘純一が何度も立ち上がる姿。森島先輩の恋愛に対する苦しみ。
それを通して、二人の恋愛が展開され、10年後二人は結婚し、幸せになりました。
お話としては、個人的に「良かったね」と言いたいし、「楽しんだ」とも言いたい。



さて、そう思うからこそ、最終章で不快に思うことが2つある。
1つは「話が急な展開だったこと」
もう1つは「描かれ方が中途半端に感じること」
この2つである。



1つ目。「話が急展開だったこと」
少なくとも私は第三章まで視聴して「早い」とは感じなかった。
むしろ、ほどよくカット&ペーストされている感に好感があった。
私が言いたいのは第三章から最終章への時間間隔だ。
あまりにも急すぎた。
第三章であれだけいちゃいちゃしておきながら、
最終章で恋愛に対する不安を描かずに、
「どうしてもう一度告白しないの?」「ずっと待っていたのに!」
なんて言われても、「はい?」としか言いようがなかった。


「ちょっと待て。前話ラストで満足そうな笑みを浮かべてたのはどなたでしたっけ?」
「森島先輩、いつ不安に思っていたのですか?」


少なくとも私が見た限り、そんな描写はなかった気がする。
確かに第三話「ヤキモチ」のタイトル通り「ヤキモチ」のシーンはあった。
塚原先輩に相談するシーンも見受けられた。
でも、この時すでに自分の想いに気づいていたのか?となると私にはそうは思えない。
そして、ラストの満面の笑みを見ると、どうしても不安があるようには見えない。



2つ目。「描かれ方が中途半端」
先の話にも言ったが、森島先輩の悩みの描写が薄い。
今まででそんなに悩んでいる描写がなかったのに
言葉だけで「どうして……?」「ずっとずっと……」とか言うだけでは
森島先輩が初めての恋に思い悩んだとは思えない。



橘純一が一生懸命にトラウマを乗り越えていく様は
以前から触れている通り、しっかり描かれていたと思う。
それには満足している。
だけど、その分、森島先輩の恋の悩みの描かれ方は不満足だった。



ただ、橘純一に関しても、不満はある。
それはセリフ。


丘の上公園での森島先輩との会話。デートに誘うとき。
私が言えることではないが「もう一度救ってくれませんか?」は妙だと思う。
トラウマを乗り越えようと強く決意し、
自分の力であれこれ頑張ってきた人物がここにきて
「救ってくれませんか?」と言うとは思えない。
また、デートの誘いとか告白とかで「救ってくれませんか?」というのは
自分を卑下し過ぎているようで好ましくないように思われる。
個人的な好みですが。


もう一つ。
最後の見せ場であるはずの森島先輩への告白の前。
覗こうか覗くまいか悩むのはともかく。
その後、森島先輩の「なんで覗きに来ないの?」に対する
「覗くべきだったのか!!」のセリフ。
完全に個人的な見解によるものですが、
あの照明が落とされた瞬間から雰囲気は変わり、
一気に結末に向かって、シリアスになるはずなのに
そのセリフがあることで一瞬流れが壊された気がした。
まさに余計な一言としか思えない。



……さて。
森島先輩が描かれ方が不満だと思った時、
ふと「ゲームはどうだったのか」と思い始めた。
なぜ私は森島先輩が恋愛に想い悩んでいると感じたのか。
アニメではなぜ描写が薄いと感じたのか。
再びゲームをして、考えてみた。


(アニメとゲームを比べるというのはあまりいいことではないとは思うが。)


やはり、一つの結論が出た。


イベントが削られているから。


「塚原先輩に相談する」というイベントがゲームにあり、
アニメではそれくらいしか再現されていないが、
それだけでは少なかったのではないか、と思っている。
「どうしたらいいのか分からず相談する森島先輩の姿を知る」
確かにその描写は森島先輩の心情が垣間見える。
でも、それだけでは少なかったし、その後の展開から不安な様子など見えなかった。
(何度も言いますが、第三話では満面の笑みだったんですよ?)


ゲームにはもっと森島先輩の不安が見えるシーンがある。
純一がラブレターらしきものを手にしているのを目撃されるイベント。
梅原と塚原先輩の話をしていて森島先輩にヤキモチを焼かれるイベント。
そして、一方その頃のイベント。(スキレベルアップのやつなど)
などなど。
これらをゲームの中で見ていきながら
「ああ、森島先輩がヤキモチ焼いてらぁ…」なんて感じていたのだと気づいた。
そして、複雑な想いを抱きつつも、ちゃんとした対応がとれない森島先輩がいた。
それらはEDでの「不安」につなげることができた、
「そうか、森島先輩はそんな想いを感じていたのか」そう気付くことができた。


アニメではこれらはカットされた。時間の都合というのもあるだろうが。


別にこれらのイベントを出せば良かったのに!
と思う事もあるが、出さないなら出さないでも構わないとも思う。
ただ、それならば別の方法でしっかり「不安」を描いてほしかった。


最終章で梨穂子と美也が買い物に行くシーンがあった。
てっきり私はそこで森島先輩とバッドエンカウントし、
森島先輩がヤキモチをやく、とか、
「不安」を抱くような描写があると勘ぐった。
ところがそうではなかった。
ただ買い物に行って、そこで純一が森島先輩を目撃し、
梨穂子たちと別行動をとり、森島先輩と下校する。それだけだった。
「不安」を抱くような描写があると期待していたため、それが描かれず、
何のためにオリジナルの展開で描かれたのか私には分からなかった。
(ただ梨穂子と美也を出すためだけ?)



アニメにはアニメの事情があって、ゲームのすべてを出すことは難しいと思う。
だけど、話を改変してもいいから、しっかり描いてほしい部分があった。
純一の姿勢がしっかりと描かれているから、なおさら。



決して私は森島はるか編がつまらなかったと言っているわけではない。
楽しかった。それは間違いない。
純一が必死にトラウマを克服し、めげずに挑戦する姿は応援したくなったし、
ゲームの雰囲気を意識して描かれ、キャラも崩れてはいなかったと思う。
ああ、アニメの「アマガミ」だ……と思えた。


ただ…ね。
キャラが崩れておらず、シナリオもゲーム通りだからこそ、
描写足らずが個人的に気になった。
私はゲームをプレイしていたから森島先輩について分かると思っているが、
ゲーム未プレイの方々は森島先輩がどういう人物だったのか分かったのだろうか。
ちょっとお茶目(天然?)で可愛らしい一面もあるが、
不器用なところがあって、想いを上手く伝えられない、
そんな人なんだ、って。
もし、魅力が十分に伝わった、というのであれば、それでいい。
アニメから見られた方が、森島先輩のセリフを聞いて、
今までの行動の中で森島先輩は不安がっていたんだと分かったならば
私の心配とは違ったという事で、なお、いい。



もしかしたら全章80分つなげて視聴すれば、見方は変わるかもしれない。
でも、それはすべてのお話が出そろってからにしようと思う。
すべてを通して見て、どう変わるか、というのを見るために。
それまで、この森島はるか編の感想はひとまず区切る。



ゲームの雰囲気を損なわず、描かれていて、楽しめた。
純一の姿勢にはやはり好感を持てた。
ただ、展開が急だったためか、森島先輩の描写足らずが気になった。
これが私の森島はるか編を視聴しての感想である。



さて、棚町薫編はどんな感じになっているのか、次週を楽しみにしたい。
また、森島はるか編で描かれなかった、
森島先輩と美也が仲良くなるお話というのが今後描かれていくのを期待する。



最後に。
以上の感想は個人的な考えと感じ方によるものです。
この駄文を読まれて、
「アニメでちゃんと『不安』描かれてましたよ?」と思われる方は
すみませんが、私自身の読解力・理解力不足だと思ってください。



その3 森島はるか編 第三章「ヤキモチ」
その5 棚町薫編 第一章「アクユウ」
その28 『キミの瞳に恋してる』感想