アマガミSSのSSって…? - 16 -

さて、アマガミSS 七咲逢編 最終章「コクハク」を視聴しました。


以下、感想。



第一印象はすんなりと見やすかったことが一つ。よくまとまっていたと思う。
創設祭でのおでん → 温泉での告白 → 海岸でエピローグ。
ゲームとは全然違う展開ながらも、様々なルートを組み換え、
なおかつ違和感をあまり感じさせない展開だったように感じられた。
同時に、ゲームのイベントをぎゅっとまとめた印象があった。


ときにアマガミは攻略途中のイベントで結末や先の展開をほのめかす描写が
いくつかあるような気がする、と個人的に思っている。
たとえば、るっこ先輩のセリフで
「(シュークリームは)プロポーズの際に渡したものなんだって」とあるが、
あれは桜井梨穂子スキBESTエンドにつながっている気がする。
また、森島先輩との会話で主人公が「理想の上司になってください!」と言うが、
なんとなく森島はるかスキBADエンドを予感させる。
それ以外にも、そういった描写があり、そういったささやかな面白みがある。
ただの考えすぎかもしれないが。


この七咲逢編もそんな描写が見受けられた気がする。


アツアツのおでんを二人並んで食べているところは、大判焼きを思い出した。
そういえばあのときも二人並んでアツアツの大判焼きを食べてたなぁ、と。
そして、あれから二人は進歩したのかな?なんて考えていた。


温泉。告白のシーン。
七咲は水着をタオルの下に着ていると嘘をついていた。下には何も着ていなかった。
純一も下に水着を着ているだろうと思っていた。
あの「たくしあげ」のシーンと逆。
あのときは誰に見られても平気な水着を着ていたが、今度は水着すら着ていない。
でも、見られてもいい。二人はそんな関係になったから。
そんな七咲の想いが感じられる。
あの「たくしあげ」から七咲との距離がだいぶ変わっていると分かる。
そして、またも慌てふためく純一がいた。


海岸。ゲームではスキBADにあたるエピローグ。
海岸といえば二人で来た場所。
ゲームだと最初の下校デート。アニメでは第一章のラスト。
そんなわけで、なんとなくだけど、海岸は二人の原点のようなイメージを持つ。
最初に二人で来た場所。そして最後もこの場所。
そのため、いつまでも変わらない。そんなイメージも持ったりする。


そういえば第三章も公園のシーンがあった。
公園は第一章の出会った場所であったが、第三章ではキスをした。
七咲との距離があのころから縮まっていることが分かる。


ざっと思い当たるだけ書いてみたが、それが上手くまとまっていると思う理由でもある。
イベントをただ並べただけかもしれないが、
そのイベントに意味があるように配置している、そんな印象を受けた。
もしかしたら、ゲーム・アマガミのイベントも鼻っからそういった意図があり、
アニメはその意図に沿ったのかもしれない。
以上は、ただの妄想。
感想としては、面白かったの一言。




面白かった。これが一番の感想。
それ以外にも思うことはある。
以下、七咲と純一について思ったことを書いていく。



一つ目。七咲について。


やっぱり、なぜ七咲が純一を好きになったのかが分からない。
出会って、ちょくちょく関わって、親しくなって……
例えば、森島先輩の告白しかり、紗江ちゃんの特訓しかり、
何かキッカケのようなものが描かれてもよさそうだが、
残念ながら私には読み取れなかった。
だけど、いろんなことを通じ、
変な人だな、良い人そう、頼りないなぁ、いや頼りになるかな?なんて
いろいろな面を見ていって、最終的に好きになった、と考えると、
キッカケなんてなくていいような気がした。
だから、どうして好きなったのか?というキッカケは考えないことにした。


ところで、なぜ最後があの海岸シーンだったのだろうか?
前述したことを用いると、最初に二人で来たところだから、と考えられるが、
はたして、それだけなのだろうか?
高山箕犀さんは「アマガミは七咲のスキBADエンドが最初にできた」
というような発言をされ、
最初にできたエンドだから、どうしても出すという意向があったのかもしれない。


個人的に思うことを書くと、
あのエンディングが主人公と七咲の関係を一番よく表しているからじゃないかと思う。
前回も触れたが、七咲は人の面倒をよく見るが、甘やかしすぎる一面があると思われる。
ゲームではスキBADエンドで、
他のヒロインとデートをして、七咲を待ちぼうけさせた主人公が
七咲に告白して、一度はフラれるエンディング。
でも、七咲は一度受け入れなかった主人公を再び受け入れることになる。
一度許さなかったのに、主人公を許してしまう。
そこは「甘やかしすぎる一面」が垣間見えるところだろう。
ふと「今回だけ…」という言葉も聞こえてきそうだ。


受け売りだが、ブックレットのインタビューについ感心してしまった。
アニメのシーンについて、ゆかなさんがおっしゃっていた。
「もし先輩が風邪をひいても、私が看病してあげますから」というセリフについて
「風邪をひいても看病してあげるのはいんです。
(中略)『風邪ひいて看病してあげるのは当然だけど、
 でも、まず風邪をひかないようにしなきゃね。』ってことなんです。」
「純一さんの方も(中略)僕が風邪をひいたら逢に迷惑掛かるだろうな〜って
 気づかないと。」
とのコメントを残されていた。
甘やかせる一面がよく描かれているということがよく分かるのではないか?
面倒見がいいのはいいことだが、
その面倒見の良さが純一の成長を止め、ダメにしている。
そんな感覚すらある。
海岸のシーンについて「いつまでも変わらない」というイメージをもったのは
そんな理由もあるかもしれない。
ずっと同じ場所に留まっている。そんなイメージ。


高山箕犀さんの言葉で言うなら「『男をダメにする』キャラクター」
そんなキャラクターの一面が表された海岸のエンドは
七咲という人物を表すのに適したエンド、
そしてこれからの二人がよく表れたエンドだったのではないか、そう思う。



二つ目。純一について。


七咲についてばかり考えてしまって、純一のことをあまり注目していなかった。
そのためかもしれないが、純一については分からないことだらけだった。
七咲が純一に興味を抱き、好きになっていったのは分かった。
だが、純一はどうだろうか?純一に心情の変化はあったのだろうか?
そして、いつから七咲のことが好きだったのだろうか?
そんな描写があったのか、すまないが思い出せない。
そのため、七咲の告白があり、純一が七咲の告白を受け入れるというシーン。
自然な流れかもしれないが、純一の心情変化が理解しにくいため、
「僕も七咲が好きだ!」に違和感を感じた。
つい「嘘だろ?」とか思ってしまった。
七咲と親しくしてたのは分かるけど、好きだというのは感じられなかった。
もちろん好きだからこそできた言動もあったとは思うが…。


表現が悪く、誤解が生まれるかもしれないが、
「好かれているから、好きになって、
 好かれていることが心地よくて、そこに居座っている」
そんなイメージをもった。


何も変わらない、変わろうとしない。
ゲームでトラウマや純一の成長について、取り扱うことが少なかったせいか、
アニメでもトラウマ描写は活かされず、純一の成長もあまり描かれなかった。
だから、七咲という人物が純一にどのような変化をもたらしたのか分からないし、
純一が七咲のことについて、どういう想いを抱いているのか分からなかった。
純一のことがよく分からないから、「好きだ」の言葉も信じ難かった。
不満点の一つ…かな。



七咲逢編はよくまとまっていて面白かった。
だけど、先のヒロイン編と比べると何を描きたかったのかは私には分からない。
森島はるか編は愚直に告白する純一の一生懸命な姿。
棚町薫編は未熟ながらも成長し、支え合っていく二人の姿。
中多紗江編は一生懸命に変わろうとした紗江ちゃんの姿とそれに感化された純一の姿。
それぞれがよく描かれていた気がするし、それぞれの恋愛の良さも描かれていたと思う。
では、七咲逢編は?と聞かれると、答えが今は思い浮かばない。
それは以上のように純一や七咲の想いやその変化を私が読み取れなかったから。
そして、前回まで語っていたように私は七咲について理解できていないから。
もう一度視聴し直すなど、答えを出すまで、もう少し時間が必要かもしれない。
とりあえず、今の私の思いをここに残しておく。




さて、以下、そのほか気になったこと。


その1。追加シーン(?)
本放送を見ていないため、どこからどこまでが追加シーンか、確実なことは言えないが、
アマガミSS公式サイトのキャプチャーを見る限り、
森島先輩と塚原先輩の会話シーンだと思う。
二人は七咲のことについて話していた。
七咲が部活で壁にぶち当たったこと。
そんな七咲を支えたのは塚原先輩ではなく“彼”であること。
彼がいて、七咲は壁を乗り越えることができたこと。
七咲にとって塚原先輩はもう必要ない存在となったこと。
そんな話をしていた。
第三章の最後のシーンの補足説明と
今までのあまり描かれなかった七咲と塚原先輩の関係を説明する、
そんなシーンなのかな?と思ったり。
でも、もしこのシーンが追加シーンならば、
塚原先輩がサンタコスしている理由が不明だったのでは?
どうなんでしょうか?


その2。絢辻さん。
結局、以前もあった絢辻さんと七咲がしばらくにらみ合う(?)シーンの
意味はなんだったのだろうか?
あのとき絢辻さんは、七咲は、何を思ったのだろうか?


その3。恐怖の茶道部コンビ。
イチャモンをつけてきた茶道部コンビ。
ここでこの二人を大きく出してきたのは次の梨穂子編のため?
茶道部コンビ大活躍の布石?
それはともかく、おでんを食べてキラキラするるっこ先輩が可愛く感じた。
……大丈夫か、私?(失礼w)


その4。高橋先生。
え……?甘酒ってそんなにアルコール高くないと思っていましたが、
どんだけ飲んだんですか?高橋先生……。
それとも高橋先生はお酒が弱い……?
あと、学校行事で生徒を監視するのは教師の仕事なんだから、
創設祭で飲んで酔っ払ったら仕事放棄じゃないんですか……?


その5。水泳部の屋台。
たぶんツッコんではいけないところ。
なんで屋台にこんなに人手がいないの…?
茶道部コンビが来る前後で屋台の客の数が違うのはなぜ…?
絢辻さんがおでんを受け取り、立ち去ったとき、
絢辻さんが持ってたクリップボードはどこに…?


その6。美也。
美也の存在価値ってなんだろう…美也編がどうなるんだろう…
そんなことを考えてしまいます。
物語に関わったのは最初だけでしたね。
七咲が純一と親しくしていることに関して、何も思わなかったんでしょうか?
それとも知らなかった…?
紗江ちゃん編では紗江ちゃんが純一に気があることなどを知っていて、
純一の好みを逐一教えてた印象があるんですが…。


その7。七咲の嘘。
七咲の嘘といえば「タオルの下に水着を着ている」などがあるが、
ブックレットによるとアマガミSS 第三章の「郁夫は風邪をひいています」も
嘘とのこと。
もしかしたら作中でそんなこと言ってたかもしれませんが、
そうでしたら、見逃していた、ということで…。
しかし、そういう嘘をついてまで、純一と二人きりデートしようと思ったということは
第二章でだいぶ純一のことが気になっていた、ということですよね?
そこまで七咲を惹きつけるものが第二章であったのか…?


さて、次回から桜井梨穂子編。
梨穂子の物語がどのように描かれるのか、楽しみにします。


その15 七咲逢編 第三章「ヘンシン」
その17 桜井梨穂子編 第一章「オモイデ」
その31 『恋はみずいろ』感想