アマガミSSのSSって…? - 25 -

アマガミSS 上崎裡沙編「シンジツ」を視聴しました。


この話までがTV放送で流された話になります。
すなわちアマガミSSの実質的な最終話になるわけですね。
私はこの上崎裡沙編が最終回と思って視聴しました。
では、以下、感想を。




上崎裡沙編はゲームと比べると大まかな流れはほとんど同じであったが、
細かいところが違っていた。
例えば開かずの部屋(お宝本を隠している部屋)はなかったし、
裡沙ちゃんが告白してくるのもクリスマスの直前ではなく、
ある程度クリスマスまでに期間に余裕があるようだった。
開かずの部屋がなかったのはどうでもいいと思っている。
裡沙ちゃんが告白してくるタイミングが早かったこと、
クリスマスの直前でなかったことは面白いなと感じた。


クリスマスの直前ではないため、
純一は裡沙ちゃんと恋人の期間をある程度持つことができ、
デートをしたりして二人きりの時間の中で裡沙ちゃんの可愛い一面が見れたり、
幸せそうな二人の様子が見れたりした。
ゲームではほとんどなかった描写。それは良かった。




だけど「あれ?」と思うことも多かった。


一つは他のヒロインたちのこと。
裡沙ちゃんが他のヒロインの邪魔をするシーンがあった。
それは今までのヒロイン編で出てきたシーンを使って、
俗にいうフラグ潰しのようなことをしていった、という話だが、
なんでこんなにあっさりしているんだろう?そう感じる。
森島先輩なんか写真を見せて「あ、そう」的な感じだった。
実はヒロインたちはあまり純一のことが好きではなかったのではないか?と思っている。
例えば、ある程度親しくなった好きな人について、
他の女性と親しくしている様子が移されている写真を見せられたならば
他に付き合っている女性がいるのか本人に確認しないだろうか?
もしくはそれとなく探りをいれないだろうか?
もちろんゲームでも同じことがいえる。
だが、ゲームでは裡沙ちゃんがやってきたことは写真だけではない。
噂を吹聴して回っていたのだ。
複数のヒロインと親しくなったときに流れる主人公がモテているという噂。
裡沙ちゃんが複数のヒロインを呼び出し何かを吹き込む様子。
ゲームでは描かれていないだろうが、様々なネガティヴキャンペーンがあっただろう。
いろんな悪い噂が流れている中での決定的証拠となる写真。
自然と主人公から離れていくのは当然なのかもしれない。
そして、テキタイに陥ったヒロインたちの悪質(?)な嫌がらせ。
好きだったからこそ裏切られた時の怒りや悲しみが表れており、
ヒロインたちの想いが見えるだろう。(無関心だったらこんなことしないよね)
アニメではそんなことなく、やっぱりそんなに関心はなかっただろうな、と思う。


余談だが、裡沙ちゃんのウソを見抜けなかった絢辻さんは
やっぱりゲームの絢辻さんとは違うんだなと思ったり。
たぶん己の感情に任せて怒っただろうし、
「わたし、あの人のことが好きなの」なんて言わなかったんだろうな…と。


二つ目は純一のこと。
純一は6人もの女の子と親しくしていたのか!と思うが、まあ、置いといて…。
その6人の女の子が離れていったのに何とも思わなかったのだろうか?
心のどこかで自分がフラフラしているから女の子が離れていった、とか、
親しくしていた女の子が急によそよそしくなって疑問に思ったり、とか、
特に後者の場合はトラウマが復活してもおかしくはないのに、まったくない。
女の子のことなんかどうでもいいと思っているんじゃないかって、感じてしまった。
そして、話で言うほど、この純一にはトラウマや傷つきやすい一面はないだろう。
何度も言うようだが、もしあるならばそこで悩んでいるだろうから。
個人的にこの純一は薄っぺらい、そう思う。


三つ目。裡沙ちゃんのこと。
他のヒロインたちのことでも触れたが、
“フラグ潰し”があっさりしているのは裡沙ちゃんの描写の影響だろう。
裡沙ちゃんがギャグっぽかった。
単に裡沙ちゃんが好きな人に近づく人に対して焼きもちを焼いている人物だったが、
実際はそんなもんじゃないだろう。
前述したけど、噂を捏造したり、ヒロインたちにも何度か接触している。
気持ち悪いほどに主人公を観察しているし、秘密(開かずの部屋)も知っている。
ヒロインたちだけでなく、主人公に密かに想いを抱く人にまで
ネガティヴキャンペーンを行い、徹底的に主人公の周りの女性を排除していた。
そして、主人公が裡沙ちゃんを受け入れないとき、彼女は怒り狂う。
激しく嫉妬を爆発させる。
それほどまでに裡沙ちゃんには暗い一面がある。
だが、アニメではその暗い一面が薄まって描かれていた。
もちろん、アニメで描く以上、そして特別編にあたる上崎裡沙編を
明るく楽しい雰囲気で描くというのは正しいと思う。面白いと思う。
だけど、裡沙ちゃんのそうした暗い一面を“あえて”隠したようで
個人的に寂しい気持ちがしている。
裡沙ちゃんの可愛らしい一面だけ見せて
多くの人に受け入れてもらえるようにしている…そんな感じがしている。
繰り返しになるが、それが悪いとは言わない。




以上のことを「あれ?」と思った。
その原因を考えてみると一つのことが浮かんだ。
それは私が期待していたものと裡沙ちゃん編が違ったことだ。


なぜゲームでは上崎裡沙ルートが全ヒロインのルートを見ないと出てこないのだろうか?
隠しキャラだからという理由はナンセンス。
私は上崎裡沙ルートは主人公のトラウマに対する成長が関わっている。
蒔原さんとの会話、真実を知ってなお裡沙ちゃんを受け入れた主人公、
また、裡沙ちゃんをフッた際の言葉…
主人公はすでにトラウマを乗り越えて「もう大丈夫」な状態になっている。
それはプレイヤーの成長とリンクしている部分があるのだと思う。
ヒロインたちと交流してきたことにより、
プレイヤーも主人公とともに繰り返し成長していった。
その結果、裡沙ちゃんを前にしても、真実を知っても、
後ろを向かず、前に進むことができている。
成長してからでないと真実を受けとめることができないし、
再びトラウマによりふさぎ込んでしまう。
主人公が、プレイヤーが成長したからこそ、上崎裡沙ルートが成り立つのだ。


私が期待したのはここ。
主人公・純一がトラウマに対し、どんな成長を遂げたのかの結果。
24話通じて、純一があの日に対してどんな結論を出したのか。
6編の最初に必ず描かれていたトラウマをどう受け止めたのか。乗り越えたのか。
それを最終話にあたるであろう上崎裡沙編でどう描かれるのかを期待した。
なのにトラウマ描写はあまり描かれていない。純一が悩み苦しむこともない。
そして、成長した主人公・純一との対比ともいえる、
あの日に縛られたままの裡沙ちゃんの描写も可愛いものになっている。
トラウマおよびあの日の出来事に関して、薄いものになっているのではないだろうか。
コメディ調で明るい雰囲気を出しているのは出していて良いとは思うが、
私がアマガミSSの最終話に望むものではなかった。
そのため「あれ?」と思ってしまった。




多少「あれ?」と思うところはあったが、
たった1話しかない、ある種特別編のような物語なのだから
裡沙ちゃんを可愛く描こう、裡沙ちゃんとの幸せな恋愛を描こうというのが読み取れ、
その意向ならば実に面白い作品だったのではないでしょうか。
幸せそうな裡沙ちゃんが見れて良かったです。




余談になるが、不満を漏らす。


毎回トラウマ描写を描くことから
私はこの作品がトラウマに対して主人公がどのように乗り越えていくのか、
成長をしっかり描くものと思っていた。
また、それに合わせてヒロインたちの成長や変化も描いていくのだろうと思っていた。
だが、実際は主人公のトラウマについてほとんどおざなりになっていたし、
紗江ちゃん編ではとってつけたような、しかも違和感丸出しのトラウマ描写であった。
そして最後までそのトラウマ描写はいい加減なものだったと考えると、
描かずに話を進めても良かったんじゃないかと思える。
可愛いヒロインたちがたくさんいて、
それぞれの恋愛模様、いちゃいちゃぶりを描くだけだったならば。


もう一つ。
今回、裡沙ちゃんが純一とヒロインたちのいちゃいちゃぶりを目撃して
それを邪魔するシーンがあったが、
どうせ後から思い出すようにシーンを出すならば、
ちょこちょこ裡沙ちゃんを出してもらいたかったなぁ…と。
「たまに端っことかに登場してたあの娘はこの娘か!」なんて思えたら
楽しかったろうに…と。
前に「あまがみっ!」を読んで、
実は裡沙ちゃんが登場していたことを知った時の衝撃を思い出しつつ…。
最後にいきなり登場するのはやはり無茶があるだろう。(OPではちょっと出てたが…)
やはりそういうところを考えると、
裡沙ちゃん編がとってつけたような特別編になってしまっている、
そう感じざるを得ないだろう。


次回は美也編ですが、見る前から不満を持っている。
アマガミSSでは裡沙ちゃんと同じく、美也の出番が少ないから。
登場していたじゃないかって?
登場はしていたかもしれないけど、物語に関わるような活躍する場面はなかった。
原作では時折ヒロインに関わり、主人公とヒロインの恋愛に深くかかわることがあった。
そして、裡沙ちゃんルートでは、主人公を今までよく見ていたことが分かり、
深く心配してくれていたことが見て取れた。
物語の途中途中にもそういった描写はたくさんある。
でも、アマガミSSでは少ない。
ある意味マスコットキャラとしてキャラは確立しているかもしれないが、
主人公の妹として物語に重要なキャラではなくなっているだろう。
…だから、美也編もとってつけたような話になるのではないか?なんて邪推している。


それでも美也編を期待しています。


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